HAPTIC DESIGN?

見る・聴くデザインから、“触れるデザイン”へ
HAPTIC DESIGNは、身体を通じて
自己と世界をつなぐ
触覚に基づく新たなデザイン分野 です

わたしたちは日々、さまざまなモノやヒトと触れ合い、
刺激を受ける
その度に喜び、哀しみ、
ときに感極まって涙を流す……
わたしたちのからだは“センサーの塊”です。

ヒトの五感のひとつである、
からだ全体で感じる感覚「触覚(HAPTIC)」の
デザインは、

たとえばグラフィックデザイナーが紙の“厚みや材質”にこだわり、
ファッションデザイナーが見た目以上に“着心地”に気を使い、
UXデザイナーが“ふれあいによる影響”を考えるように、
デザインの現場で大切にされながらも、不思議なことに、
今まで名前もなく、体系化されることもないままでした。

見る「視覚」のデザインがビジュアルデザインとして、
聴く「聴覚」のデザインがサウンドデザインとして確立されてきたように、

身体を通じてヒトと世界をつなぐ、触れる「触覚」のデザイン分野を
HAPTIC DESIGN(ハプティックデザイン)と名付け、
研究分野とデザイン分野との融合にチャレンジします。

質感 実感 情感

インターネットが日常化し、ネットと現実空間の境界が
なくなりつつある
“ポスト・インターネット時代”の今、
表現には、よりリアリティやライブ感といった
身体性が求められるようになってきました。

何かの目的のために、感覚的情報を設計することを
デザインと呼ぶならば
触れることだってデザインできるはずです。

デザインの新潮流になる可能性を持つ
HAPTIC DESIGNを一緒に開拓していきましょう。

THREE FEATURES OF HAPTIC

HAPTICを構成する「質感」「実感」「情感」
3つの特徴をつかめば「HAPTIC DESIGN」がわかる

質感

フワフワ サラサラ ワサワサ

モノとヒト

触覚のテクスチャーデザイン

「質感」とは、モノの材質やさわり心地、またそこから人が感じる手応えのことです。暮らしの中のありとあらゆるプロダクトに存在します。さまざまなテクスチャーを「ざらざら」「ふわふわ」「ねばねば」などのオノマトペに分類し、空間的に表した相関図、“カラーチャートの触覚版”を用いれば、「質感」を色彩のようにデザインの一要素として考えることができます。例えば木材など特定の素材に限定すれば、職人のみが知り得る感覚を共有することも可能になります。

例えばこんなコトも「HAPTIC」

グラフィックデザイン

紙質や印刷方法などをセレクトし
「質感」をデザイン

空間デザイン
インテリアコーディネーター

壁紙や床材、インテリアを選び、
空間の「質感」を演出

京料理

味や見た目はもちろん、食感などの
「質感」を含む“五感で楽しむ料理”

実感

手頃 高級感

自己と環境

触覚のリアリティデザイン

ボールをミートする感覚を覚えると、頭より先に身体が動く……。テニス、野球、ゴルフほかスポーツにおける、身体で記憶、記録する感覚は「実感」のわかりやすい例です。モノゴトを理解した感覚を表現する“腑に落ちる”“腹落ちする”といった表現もまた、身体での「実感」に通じるもの。リアリティのある感覚的情報である「実感」のデザインは、体験のデザインが叫ばれるプロダクト、サービス設計だけでなく、個人と社会の関係性のデザインにおいてますます重要になるでしょう。

例えばこんなコトも「HAPTIC」

なぜか重い高級なペン

軽いペンより重いペンのほうが、
所有している「実感」が
得られ、高級感も感じられる

iPhone7のホームボタン

物理的に押し動かさずとも
押す「実感」さえあれば
ボタンになり得る

頭より身体が動くスポーツ

身体で覚えるという感覚は
「実感」によるもの。実感を
得ると再現性が増すのも面白い

情感

ホッ

他者との関係性

触覚のコミュニケーションデザイン

好きな人を抱きしめれば安らぐし、握手を交わせば信頼感が増す。言葉以上に、身体の接触や感覚の共有が他者との関係性において大切なのは、誰もが実感するところでしょう。またライブやスポーツなど“生”が醍醐味のエンタテインメントを見て起こる興奮。これも「情感」の働きによるものです。触覚に基づく他者との「情感」(共感)のコミュニケーションデザインは、まだまだ未開拓の分野ながら、例えば「情感」のパターンから感情を推察するような、 ユニークなコミュニケーションを生み出す可能性があります。

例えばこんなコトも「HAPTIC」

信頼感が増す握手

手を握り合うだけで信頼感が増す。
力加減で相手の気持ちや個性まで
感じられる

言葉以上の愛情を感じるハグ

身体の温度や抱きしめられる
圧力で、言葉以上に
ぬくもりや愛情を感じる

スタジアムでのウェーブ

実際に手が触れてなくとも
会場のどよめきや臨場感で
一体感を感じる

BECOME A HAPTIC DESIGNER

触覚のデザイナーになるための手引き、
エトセトラ。
大切なのは、
まずは「触覚」への“意識と気づき” です。

HAPTIC DESIGNに必要な知識・スキルって?

HAPTIC DESIGNに必要な知識・スキルって?

HAPTIC DESIGNは新たなデザイン領域だから、まったく手がかりとなる知識や方法論がないものなの? いいえ、 ヒトを中心とした自己と世界の関係性のデザインであるため参考になる学問や方法論はいくつかあります。ユーザー体験のデザインであるUXデザイン、ヒトとモノのインターフェイス(UI)やインタラクションのデザインは関連性が高いものですし、人の心理や社会との関係性にまつわる学問も活かせる知識です。違いは、触感を活かしたアプローチで、体験やコミュニケーションをどう新たにデザインできるのかという視点です。

デザインのプロセスは?

デザインのプロセスは?

HAPTIC DESIGNは、なにより先に、普段あまりにもあたりまえすぎて無意識になっている、触覚を意識し、気づくところからはじまります。次に言語化と、意味付け、分類(体系化)。観察した触覚をことばにし(言語化)、その意味の関係性を位置づけし分類(体系化)出来ると、デザインするためのベースとなります。つまりデザインするための情報が揃った状態です。その情報を組み合わせて、質感、実感、情感としてモノやコトの体験をデザインしていく。これが大まかなHAPTIC DESIGNのプロセスですが、まだまだ方法論としては十分ではなく、多くのデザイナーが実践を重ねることで、拡充されていく必要があります。

TOOLS & BOOKS

関連するツールやプロトタイプを紹介

BOOKS

「触楽入門-はじめて世界に触れるときのように」仲谷正史、筧康明、三原聡一郎、南澤孝太(朝日出版社)

「触楽入門-はじめて世界に触れるときのように」仲谷正史、筧康明、三原聡一郎、南澤孝太(朝日出版社)

HAPTIC DESIGNのオーガナイザー、南澤孝太を含むテクタイル(TECHTILE)というユニットで活動していた気鋭の若手研究者たちによる、日常あまりに無意識で忘れられた「触覚」を、わくわくの対象へとスイッチさせる入門書。触覚を意識するための問いや、実践・体験例を豊富に揃え、頭と身体で、触覚の面白さと奥深さと可能性を実感させる。アート、デザインの視点からも捉えているのもポイント。付録は14Pもの触感年表。

「情報を生み出す触覚の知性ーー情報社会をいきるための感覚のリテラシー」渡邊淳司(株式会社 化学同人)

「情報を生み出す触覚の知性ーー情報社会をいきるための感覚のリテラシー」渡邊淳司(株式会社 化学同人)

こちらもHAPTIC DESIGNのオーガナイザーのひとり、渡邊淳司による著書。情報があふれる現代社会において、情報と自分との関係を適切に判断し行動するためには、身体的な体験を通した理解が重要になるとの立場から、情報に対する感受性のあり方を考える。触覚をデザインするうえで重要となる、言語化、意味付け、分類(体系化)についても、事例を交えて詳細に紹介されており、触覚と情報の関係性が鮮明に見えてくる。

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